ピンに!? ピンで!? ひとりで僕が!? ②
お笑い芸人を志すくらいですから、人を笑わせることが好きで、また得意であったわけです。
ひとくちに芸人といっても、様々です。本当に様々です。
私の場合、強烈な個性を持つ相方とのバランスを考え、当時基本的にはツッコミという役割。で、ひとりでやるタイプではなかった。やれるタイプでもなかった。ボケるにしても、つっこむにしても、相方がいてなんぼのタイプでした。
これはひとりでやるだけの力や個性がないというのも事実ですが、ひとりでやるという発想がまずないのです。自分の表現方法がひとりでネタをやるというとこにないのです。掛け合うのがとにもかくにも好きでした。
そして、相方のことが、相方の才能が好きでしたから、彼の相方である自分のことも誇らしかったわけです。売れることを信じて疑わなかった。周囲にも期待され、嘱望もされ、彼との活動は楽しかったのです。未来が見えていました。面白かった。楽しかった。時に辛かった。そして、相方はいなくなった。
さぁ、誰か相方を探すのかと言われても他の誰かなんて事務所内にも外にもいない。そんなことを考えられる精神状態にもない。でも早く活動を再開しないと私は事務所にいられない。次の事務所ライブのネタ見せがある。出られなければ芸人でない。という状態に陥ってしまう。
であれば……ピンで!? ピンで!? ひとりで僕になにができる!? どうすればいい……。
追い込まれて初めて、どうすればやれるかを考えるのです。
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