黒子、18歳。
芸人デビュー当時、私は自身舞台に立ちながらも、有名な先輩方が出演されるライブの裏方の仕事をしていた時期が約2年もの間ありました。黒いTシャツ、黒いズボン、黒い靴という身なりで動く。いわゆる黒子というやつです。
その劇場の舞台監督さんにはえらいしごかれまして。
怒鳴られたり、小突かれたりはないけれど、まあ理詰めで色々なことを教わったのです。
舞台は生ですからね。あの緊張感ったらないわけで。
タイミングが少しでも狂えば、劇場の空気をぶち壊してしまう。
緞帳を上げたり下げたり。
サンパチマイクを出したり下げたり。
コントで使用する椅子を出したり下げたり。
その椅子を置くバミリを貼ったり剥がしたり。
小道具をすっとお渡ししたり受け取ったり。
落語家の大師匠の座布団を置いて、その四隅のヒゲを整えたり。
「なんでお前がそんなことやるんだよ」と、ある先輩に言われたことがありましたが、その仕事の打診を事務所から受け、やると答えたのは私自身の意思でした。
それは「やったほうが良い気がする」というなんとなくの感覚に過ぎず、のちに「こんなことやってる場合じゃねえ」と何度か思った記憶もあるわけですが。
現在、34歳の私はやっておいて良かったなと感じています。
宝物と表していいであろう経験を私は持っているのだから。
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